就職率の不当表示について

先日、就職率について取り上げた事もあるので参考事例として「就職率の不当表示」について記載したいと思います。

2011年6月29日、学校法人北海道安達学園が消費者庁より、景品表示法に基づき措置命令が下されました。

詳細はこちら
消費者庁資料
※別窓で開きます。pdfファイルが読めない方は以下からどうぞ。
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概要としては参考数値である分母と分子の調整を行っており、特に専門職以外への就職者及びアルバイトに就いた者までも含む数値を就職率に加えるなどを行っていたようです。

就職率での見るべきポイント」にも記載していましたが、その就職率は
・卒業生全員の就職率なのか
・就職希望者の就職率なのか
この2点に関しては改めて確認しておきましょう。

抽出する分母と分子によって就職率は大きく変動します。
また、就職率100%だからと言って数字だけで安心するのはやめましょう。
・アルバイトやパートが含まれていないか?
・一般事務ではないのか?
・ご自分が勉強してきた専門職なのかどうか?
納得出来ないのであれば、他の専門学校も必ず確認しましょう。

肝心なのは専門職での就職率かどうかです。
※もちろん、本人が納得するのであれば専門職以外も重要な数字にはなります。

にしても、見事に営業色に染まった就職率の算出ですね。
元学校職員の私としてはここに至るまでの経緯も手に取るように分かりますが・・。

ただ、学校の場所が北海道である事やマンガやミュージシャンなどのデビュー系があった事を考慮に入れて、改めて消費者庁の資料を検証してみると、もっと正直な学校経営をすれば良い学校になってた可能性もあったのではないでしょうか。

デビュー系の学科がある時点で全体表示での就職率は普通落ちます。
また、学校の場所が北海道の時点で、デビュー・就職系どちらにも不利な環境だったのではないでしょうか。特にアニメには不利な環境だと思います。基本的にアニメ制作会社は東京か大阪にあるので、就職面接でさえも頻繁に会社訪問をする事も出来なかったでしょう。
(北海道にも制作会社は何社か見られますが、年間の求人は何人程度なのでしょう?)
デビュー系にしても主流は東京か大阪だと思いますので、事務所に所属する時点でかなり大変だと思います。

その不利な中で40-50%近い専門職での就職率であったならば、それはむしろ堂々と出せば良かったのではないでしょうか。

自分の商品(教育サービス)に自信がないのであれば、学生を巻き込むのは教育機関として恥ずべき行為です。
夢を抱いて入学した学生・卒業生の時間とお金が無駄になったのが残念で仕方ありません。

やはり学校は理念が全てだと改めて思いました。

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